10話!

 今日は本当に色々とおかしい。

どこで間違ったのか、正しい選択だったのか。

そんなことを問いただしても答えは出ないことくらいはわかっている。

…と思う。

わかっているつもり。と言う程度にとどめておこう。

なにがわかっていて、何がわかっていないかなんて、整理したところで、正しい選択を取れる自信なんて無い。

だから、知ったかぶりをしない程度に知ったかぶりをしていこうと思う。

 

 私たちは同じモール内のチェーン店の喫茶店へと向かった。

誘ったのは私で、何で誘ったのかもわからないが

彼を誘っていて

立って話をしているのも、なんだったのでどこか座れるところに向かおうと思った。

その流れで、近くの喫茶店を提案すると、彼は首を縦に振り了解した。

 

先に断っておくが、私は誰からかまわず声をかけたりするタイプでも、それが平気でできるタイプでもない。

むしろそういったことは苦手であると言える。

じゃあ、そんな私がなぜって?

そんなの、私が聞きたい!

なんて思っているくらいだから、本当にわけがわからないと思う。

ただ、そんな中でも、腑に落ちている点がある。

それは、彼が小さい子を気さくに助けてあげれる人であると言うこと。

そして、年齢が程なく近いと感じたからだとは思う。

 

それでも、自分の感情に名前をつけれるほど、感情なんて物を理解している自信は無いので、そっとそこは蓋を閉じておこうと思う。

 

そして、喫茶店にはすぐ着いた。

同じモールの中とは言っても、同じ階の近くにある店舗だったので

それほどの時間は要さなかった。

数分たったか?と言う程度だったが、私の頭の中はぐるぐると考えているような、考えれていないような、そんな具合で

体感的には一瞬のような、長かったような不思議な時間となっていた。

 

店の前にあるメニュー表を見ながら

「コーヒー飲める?」と聞いた。

そもそも、誘う前に聞くべきだったとか思った。しかし、そんな後悔は意味のないものだった。

「はい。大丈夫ですよ。むしろ、結構飲むんで好きです」

そう返ってきた。

私は心の中ではなんとなく大人だなぁとか思っていた。

私がコーヒーを飲めるようになったのは就職してからで、

会社の付き合いみたいなもので飲む機会が増えて、それで飲めるようになったという程度だった。

 

店内に入り、アイスコーヒーを2つ頼んでテーブル席に着いた。

彼の方は今更ながら、少しそわそわした様子だった。

いや、これはたぶん、私『も』が正確だっただろう。

「色々、ごめんね。とりあえず、どうぞ」

そう言いながら彼の前にアイスコーヒーの入ったグラスを置いた。

ありがとうございますと、彼は丁寧にいい、グラスを手にした。

私はミルクとガムシロのポーションを取り、入れた。

ブラックは飲めるけど、やっぱり甘い方が好きなのには違いない。

彼はストローを口に運びそのまま飲んでいた。

 

 

意味もなく、たかだかブラックコーヒー一つでよくわからない嫉妬心を持った。

 

 

「それで、あの子はどうだったの?

 よかったら、詳しく教えて欲しいな」

 

 

 

 

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