ストーリー⑨

目の前に小さな男の子がいる。

明らかに迷子か何かで

不安な感情が滲み出ている。

周りを確認しても、親らしき人は見当たらない。

少し深めに呼吸をする。

ふーっ。

よしっ。

少年に向かって歩み寄る。

「どうかした?どこいきたいの?」

どんな声かけが正しいのかはわからなかった。

でも、こっちが不安がっていては、目の前の子が余計に不安になるだろう。

それだけは避けるべきだと思った。

 

俺は膝を折り、男の子と目線を合わせるように屈んだ。

すると、男の子から震えるような声が聞こえた。

「お母さんが、いないの。」

 

迷子ということが確定した。

さて、どうしたものかと思いながら、言葉を選んだ。

「そっか。えーっと、それじゃ、一緒に探そうか!」

 

男の子は少し顔を上げてちいさく「うん。」と言い頷いた。

「お母さんとは買い物してたの?」

「うん。」

「それじゃ、どこかお店とか行ったかな?」

「うん。」

「なんのお店行ったかわかるかな?」

「。。。」

「そうだなぁ。今日はお母さんと2人でお買い物に来たの?」

「。。。」

男の子は小さく首を振った。

「お父さんも一緒かな?」

再び首を横に振る。

「えーっと、それじゃぁ、兄弟かな?

お兄ちゃんとかお姉ちゃんかな?」

少し間があり、首を傾げたような感じだった。

すると小さく

「赤ちゃん…」と言った。

「弟か、妹かな?」

「…赤ちゃん」と、だけ言った。

俺は戸惑いながらも質問を続けた。

「えーっと。ベビーカーとかで一緒に来たのかな?」

男の子は首を振った。

「(これは謎々か何かなのか?)お母さんは赤ちゃんだっこしてた?」

また、少し沈黙がある。

「してない。」

降参!と、心の中で思ってしまった。

3人で買い物に来ているけど、赤ちゃんはいるのにいない?

なぞなぞなのか、トンチなのか。

いや、迷子で不安な状況で、そんなことを男の子が言うわけもないと思ったが、答えは見つからなかった。

「うーん。とりあえず、歩きながら探してみようか」

そう提案すると、男の子はうん。と言った。

そして、ヒントも少ない中、そう遠くにはいないだろうと思いながら一緒に周囲を探してみた。

 

すると、雑貨屋の方から慌てた様子の女性が見えた。

もしかして?と思い「あの人、お母さんじゃない?」と聞いた。

男の子は「わかんない」と言った。

まぁ、会えばわかると思い、店内に入り、そのお母さんらしき人の元へと行った。

 

近づくと、男の子の反応は早かった。

「ママーー!」といって走っていった。

母親の方も気づいたようで

あ!と、声をあげんばかりにこちらに気づき、どこにいってたのー!と、安堵の声をあげていた。

母親を見るに、買い物を済ませたようで、手には買い物袋を持っていた。

 

これで一安心だなと思い、その場を去ろうとしたが声が聞こえた。

 

「あの、すいませんでした。この子を見ててくれたんですよね?」

慌てながらも優しい声だった。

「あ、いや、その。迷子になってたみたいで…」

こんなこと滅多にしないから、なんて言ったらいいのか?とか頭の中でぐるぐるして、つまりテンパっていた。

「ありがとうございます!レジに並んでる間にいなくなってて、店内にいると思ったらいなくて…本当にありがとうございました。」

「いえ、その、無事に見つかって良かったです」

こんな、なんの変哲もない言葉しか出てこなかった。

母親は、ほら、お礼を言って!と、男の子を促す。

男の子が恥ずかしがりながら、「ありがとう」と言った。

「ううん。見つかってよかったね。でも、あんまりお母さん困らせちゃダメだよ。」

なんて、余計なことを言ってみた。

すると、男の子は節目がちにまた小さく「うん。」と言った。

それが何故だかすごく嬉しかった。

「それじゃ、失礼します。」

そう言って2人を後に、店を出た。

母親の方は深々とお辞儀をしていた。

それに隠れるようにいる男の子は小さく手を振っていた。

 

 

店を出て少し歩いて、大きい息を吐いた。

ふぅーーーーっ。

なんだか疲れたなぁと思いつつ

悪い気もせずにいた。

 

 

普段こんなことしないし、したことないのに、どうしたんだろ?とか

子どもの無邪気な所は嫌いじゃないなぁとか

なんだか悦に浸っていた。

側から見たら、1人でなんか妄想してる変なやつに映ったかもしれなかった。

そんなこんな思いながらいると、1つ疑問が出てきた。

確かに男の子は3人だと言っていた。

でも、母親がもう1人を抱えたり、そばにいるような雰囲気は無かった。

少し記憶をフラッシュバックしたら、

母親の服装が、なんとなく自分の母親と被った。

トートバッグに楽そうな大きめの服を着ていた。

あーあ。なるほど。

あの母親のお腹の中に赤ちゃんがいたのか。だから、男の子が3人で来たと言ったし、弟か妹かはわからないとも言った。

何も嘘は言っていなくて、本当の事だけ言っていても、なかなか気づかないものだなぁと思った。

 

 

そしてなにより

まだ顔も見たことのない、それも弟か妹かわからない赤ちゃんも、1人として認識していた男の子には、すごい感性だなぁと

感心するばかりだった。

そんな風に答え合わせしたりしながら、目的地へと向かった。

 

 

 

 

 

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どもども、見てくれてる人も

見てない人も←

更新出来てなくて申し訳ない。

ただでさえ、大した内容じゃないんだから頑張れや!とか思われんのかな?知らんけどw

いや、そもそもそんな興味ないかw

 

ま、そんなんはええんや。

書いてるとやっぱりたのしくって

どんな言葉にしよう?どんな心情だろう?

どうやったら読みやすい?どうしたら状況が伝わるのか?

なんて考えてるのが楽しいですわ!w

相変わらずの自己満足だけど、

暇つぶしでお付き合いくださいw

 

あ、ちゃんと続けるつもりではいるのでw

先は長いかなぁ?知らんけどw

では!