ショートストーリー(仮)④

ウェイターのお姉さんのアイコンタクトに

助けられたような感覚あるのと同時に

私はウェイターに

似たような顔で微笑を浮かべて返事をした。

 

そして私はテーブルの上に置かれた

目の前の料理に目を向けた。

 

えびやいか、いくらなんかがのった

海鮮の和風スパゲッティがあった。

料理の綺麗さに呆気に取られ、

私は少し、わーー!美味しそう!

と、キラキラした気持ちになっていた。

 

彼は、私とは違うものを頼んでいたが

私はもうすでに、彼のことを忘れるかのごとく

目の前の綺麗で美味しそうなそれにしか

目がいっていなかった。

 

そして、フォークとスプーンを取り出し

ちいさく「いただきます」と言い

一口食べた。

 

 

別に料理が大好きで味を正確に表現できる!

みたいなタイプではなく

単純に、好きなもの、美味しいものが好きだし、美味しい!

というタイプの私。

美味しいものは美味しいので

細かな感想は求めないで欲しい。

 

とかと頭の片隅で思っていると

テーブルの向こう側から

「どう?おいしい?」

なんて聞こえてくるもんだから

邪魔しないで欲しいなぁ。なんて、身勝手なことを思いつつも

「すごく!美味しいです!」

と、素直に思ったことを口にした。

 

すると、彼はよかったー。

評判良さそうだったけど、ハズレだったらどうしようかと思っててさーとか。

いやぁ、あのサイトのレビューは間違いないねー

とかとか、

全く一人芝居でもしてるのか?

と、思うくらい

彼は陽気に話し続けていた。

 

私は正直、この美味しいスパゲッティをいかに堪能するか

白ワインとかあれば完璧だなぁとか

くらいしか考えていなかった、と思う。

大体、彼からの話には生返事や、そうですねー、すごいですねー。とか。

そんな感じだったと思う。

 

改めて、自分で振り返ってみても、ひどい人間だと思う。

 

まがいなりにも、好意を向けられて

それをちゃんと受け止めず

かわしている。

異性とか以前に、大人として

もう少しちゃんとしないといけないなぁ。

なんて思いもするが

実行する気はさらさら無い。と言うのが現状である。

ただ、感謝している事もある。

いいお店を見つけてくれた事。

これは本当にありがたい。

今度両親を連れて来よう。なんて思えたのだから、こうやって誘われるのも悪くないのかもしれない。

 

 

程なくして、私は食べ終わり

彼も、しゃべっていたにもかかわらず、私とほぼ同じくらいに食べ終わった。

 

そしてまた、小さく

手を合わせてごちそうさまでした。とつぶやいた。

 

 

その後、すぐ、彼はそれじゃぁ、これからどうしようか?

と言った。

そうですねー…

と、私が返事に間を開けていると

彼は、すぐさま

近くのCDショップに行きたいんだけど、付き合ってくれない?と申し出された。

断ろうかとも思ったが、乗りかかった船だし、普段自分では行かないお店に行くのもありなのかもしれない。などと思い

わかりました。いきましょうか。と言い

私たちは店を出た。

 

 

どうやら彼の好きなアーティストの新曲が出ているらしく、それをみに行きたいようだった。

私も音楽は聴くが、それほど熱中しているものがあるわけではなく、なんとなくヒット曲は聞けばわかると言う程度だった。

 

移動中は、先程の店の感想や

彼の好きなアーティストの好きなところなんかを楽しそうに話していた。

 

私は適当な相槌と返答をしながら、向かっていた。

こんなにも、好きなものについて楽しそうに話せるのは、よっぽど好きなのだろうと、

少し羨ましくも思っていた。

 

 

 

そんな中、繁華街を歩いていると

小さな子供がひとりで小走りしているのが目に映った。。。。

 

 

続く